2025.06.02

全体

未就園児

6月 すくすくだより

2025年 6月

大人は、自分が感じたことや気持ちを言葉にできます。
赤ちゃんは、お腹がすいた時や抱っこしてほしい時、
泣いて(非言語)気持ちを知らせます。

養育者は、泣き声を言葉に変換して理解し、
要求を満たそうとします。

少し大きくなった子は、
動きや目線、指差し(非言語)がはっきりしてきて、
気持ちを察した養育者は、
「ここを開けたいのね…」「あれを取ってほしいのね」と
応じていきます。


すくすく広場では、初めて会った子同士でも、
子ども同士のやりとりが生まれます。

先日、このようなことがありました。

1歳7ヶ月のAくんが、
おもちゃの木づちで遊んでいるところに、
1歳9ヶ月のBちゃんが近づいていきました。

そして、Aくんの持つ木づちに手を伸ばしたBちゃん。
(Bちゃんも木づちが欲しいのね…
でも、Aくんはまだ、その木づちで遊びたいだろう。
だからBちゃんには、別の木づちを渡してあげよう…)
二人の行動を言葉に変換した瞬間のこと。

なんと、Aくんが別の木づちを手にとり、
Bちゃんに差し伸べたのです。

そこに居合わせたAくんとBちゃんのお母さん、
そして私は、つい顔を見合わせました。

みな一様に、
Aくんがまさかそのような動きに出るとは…!と
いう驚きの表情でした。

二人の動きからは、
B「わたし、その木づち、使いたいんだけど…」
A「これは、今ぼくが使っているんだ~。
こっちの木づち、はい、どうぞ」

その場にいた大人三人には、
そのような言葉が見えました。

相手に対する「思いやり」ともとれるAくんに
「お友だちに「どうぞ」してあげたのね~。
やさしかったね~」と伝え、頭を撫でました。

私の言葉を理解しているのか否か…。
でもAくんは、
私の発した言葉の抑揚を心地よく受け止め、
満足したような表情をしていました。

(…と見えたのは、私の思い過ごしでしょうか…?)

あいにく、
Bちゃんが伸ばした手はフェイントだったのか…(笑)、
それとも興味が移ったのか…。

差し出された木づちをスルーし、
他のおもちゃに向かっていったのですが…。

言葉を獲得していない子どもたちから、
「ことば」が垣間見られた一瞬の出来事でした。

(すくすく広場スタッフ 副園長 うどのかずこ)