2025.06.12
全体
ふしぎ~~
2025年 6月
「不思議に思う」
——それは世界を知るためのスタートラインです——
これは、『北欧の森のようちえん』の著者
リッケ・ローセングレン氏の言葉です。
子どもが、幼稚園のプラタナスの木の実で
遊んだ時のエピソードです。
砂と水でカップケーキを作ろうとしていた年中のAくん。
ケーキのトッピングに使おうと木の実を手にしていました。
水の入ったカップに
プラタナスの実を2粒、ポトンポトン。
すぐさま、「浮かんだ!!!」
A君の口から、驚きの声があがりました。
A君の【浮かぶ】という着眼点に驚き、
面白くなった私は、
「じゃあ、この石はどうかしら?」
そばに落ちていた小石を、A君に渡しました。
A君も、好奇心いっぱいの表情で、
同じカップに小石をポトン。
沈む小石を見て、A君は、どう反応を示すのか?
どのような言葉を発するのか?
期待に胸を膨らませながら待ち構えていると、
「わぁ~、下に行った……」と。
そしてすかさず「ふしぎ~~」
その現象を、【不思議】と言ったA君に
またもや、驚き!
しかも、そこで終わらないのが、子ども
近くに落ちていた葉っぱを水に落とし、
「浮かんだ~」と言いました。
【浮かぶ】に対して【下に行った】と
いう言葉で表現したA君。
やがて、【沈む】という言葉を知り、
生活や遊びの中で自然に使っていくように
なるのだろうと想像しました。
考えや、イメージしたこと、いろいろな物事を
相手に伝えたい思いを持つことが、
「言葉」を豊かにする第一歩かもしれません。
もともと、カップケーキを作ろうとしていたA君。
しかし、思いがけないことから、
【浮力】に出会い、関心が高まり、
ふつふつと湧き出てくる探究心。
冒頭のリッケ・ローセングレン氏の言葉が、
深く心に刻まれたエピソードでした。